「英語学習に紙辞書を使うように言われて、電子辞書は学校では使用禁止にされてます。紙辞書の方が一度にたくさんの情報が目に入るからって。」
文法クラスで私が指導している高校生から、こんなことをよく聞きます。
学校の先生方が禁止されている理由もわかります。たとえば、アルファベット順になっている紙の辞書を時間をかけて引くのが面倒だからというだけで電子辞書を使ってぽちぽち押して意味にたどり着いているだけならば、紙辞書を引いて勉強したほうがよっぽど勉強になるレベルだからです。
私も、高校1年生レベルの内容を学習している生徒には、紙辞書を使うように勧めます。高価な電子辞書を持っていても、例文や用例などのページを確認せずに単純に意味だけ確認するために使おうとするのでは、まだ使いこなせてなくてもったいないからです。
しかし、学習が進み基本単語はほぼ覚え、文法が完成してくると、逆に紙の辞典だけでは勉強にならなくなりますので、電子辞書の購入をお勧めしています。(どんな電子辞書でも良いわけではないのでご注意を。お勧めモデルとその理由は最後にお話します。)
紙辞書では不十分とはどういうことか。
英語学習が進むと、単語の意味や例文が分かればいいから、というレベルではなくなるからです。
英検を例に話をすると、3級までは質問を理解して、本文に答えを見つけられれば正解になります。
準2級、特に2級以上になると、本文と同じ単語が書いてある選択肢を選んで正解となる確立はぐんと低くなります。
なぜか。
英語を英語で考えることが必要になるからです。
英語学習が進むと、Paraphrasing (パラフレージング)する力が必要になってきます。
Paraphrasing とは、同じ内容のことを違う単語や文法で表現していくこと、読んだり聞いたりしたことを自分の言葉で言い直すことです。センター試験も言い換えや要約された英語が理解できるかを問う問題がたくさんありますし、欧米の大学入学基準としても使われるTOEFLでは、実際にParaphrasingさせる問題が出題されます。それは、英語を自由に使えるようになるためには、絶対に必要な力だからです。
英語で参考文献を読んで、それをParaphrasingせずにそのまま使ってしまうとどうなるか。それは盗作ですので犯罪です。大変なことになります。海外の大学なら退学になるかもしれません。最近、日本でも問題になりましたね。しかし、Paraphrasingするにはとても高い英語力が必要です。
ではどうやってそんな高度な英語力を身につけていくのか?
英和・和英辞書片手に英語→日本語と翻訳しながら勉強していたのでは、残念ながら時がかかるだけで英語を自分の言葉で表現できる英語力は身に付きません。日本語をそのまま英語に書き換えても、間違いがたくさんの文章になってしまいます。
でも、英語を英語のままで理解しながら、別の英文に作り変えていく訓練をすると、表現の幅も英語の単語力も飛躍的に上がります。
そのためには、複数辞書を横並びで検索できる電子辞書の方が紙の辞書の何倍も役に立ちます。
使い方を具体的に説明すると、英文の単語を、
⇒ 英英または英和辞典など複数の辞典で意味を確認
⇒ 英語類語辞典で他の単語や表現を確認
⇒ 英英または英和辞典など複数の辞典で意味を確認
⇒ 日本語が分からない場合は国語辞典
という作業を繰り返し行い、間違った理解をしてしまわないように、正しい意味で使われている英単語を見極めていきます。
ここでは
・英和リーダーズ
・英和ジーニアス
・英英ロングマン
・英英オックスフォード
・オックスフォード類語辞典
・広辞苑
など、何種類もの辞書を横並びで使いながら英語の語彙や表現を確認していきます。
6冊の辞典を机の上に全部広げて確認するのは、物理的にはほぼ無理ですね。これらの辞典全部で1万5千ページ以上あるので何キロになるのか?持ち運ぶことなんて、考えたくもないですよね。安全に運ぶためには小型スーツケースが必要になると思います(笑)。
電子辞書は、辞書から辞書に画面上の単語をタッチするだけでジャンプすることができますが、紙の辞書だとすべて手動です。一つ一つの辞書を丁寧に手で引けば、作業としてはとても良い訓練になりますから辞書引き速度はかなり上がるでしょう(笑)。ただ、辞書引きの速さを競うのであれば効果的な練習かもしれませんが、英語学習の作業効率は確実に低くなりますよね。他にするべきことがたくさんあると思います。
ただ、電子辞書なら何でもいいかというとそうではなく、目的やレベルに合った電子辞書を選ばないと、難しすぎても簡単すぎても、使い勝手が悪くなってしまいますので要注意です。
ハイレベルな英語力をつけるためには良い道具(電子辞書)は必要になりますので、以下に私が使ったり、生徒さんにお勧めしている電子辞書をご紹介しますね。
使いやすい機能
「かんたんサーチ」一度の入力で複数のコンテンツから同時にすばやく検索できる。
「ジャンプ機能」解説画面中に調べたい言葉が出てきてもスムーズに調べられ、次々と新たな言葉を調べて、知識をさらに広げることが可能。
【英語モデル】
英語系を強化したい方には9800。英語特化モデルで、価格も比較的手ごろです。しかし、英語モデルですので、高校の古文・漢文などの予習に必要な辞典が入っていません。でも、古語辞典を別に持っている場合はそちらを使えば済むことですが。
【プロフェッショナルモデル】
英語系が強いだけでなく、古文も漢文も現代文も全部一緒に幅広くという方には、プロフェッショナルモデルがお勧めです。
私は2012年発売のD10000を持っているのですが現在販売終了になっているようです。
後継機の18000は収容する情報量がさらに多いですので、ハイレベルな英語だけでなく研究、翻訳、専門職に使いたいと思われている方にはK18000が良いようです。高額ですが、収容されている辞書が良いです。(18000の2016年モデルは、2月に発売になるY20000のようです。)
良いものがほしいけれど、節約したい!という方(私もその一人です!)には、XD‐U18000(2014年モデル)が、価格とコンテンツのバランスが良くてお得だと思います。
液晶が変わったり、キーの位置が変わったりキーボード手書きパッドが消えて液晶画面に手書き入力になったり、機能面では変更があるようですが、本当に重要なのは英語・国語辞書のコンテンツだと思います。
私が買うとしたら、価格と内容を考えてこちらにすると思います。
各機種の詳細については、購入前にメーカーサイトでご確認くださいね。
プロフェッショナルモデル
XD-Y20000(2016年モデル) |