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生涯にわたるキャリア形成の意識を育てる

将来の自分の仕事の選択肢を探すには、たくさんの情報が必要です。

子供は学校でいろんな教科を勉強していますが、将来の自分のキャリア選択についてはどうでしょうかどこで知るのでしょうか?

小学校、中学校、高校など、学校に通いながら、先生以外でどんなキャリアを持つ大人の意見や経験を聞くことができるでしょうか?

キャリアについて継続的に話をしたり、良い点や悪い点について詳しく話を聞いたりできる環境が、家庭以外であるでしょうか?

キャリアは子供の人生の中で最も重要な選択です。

学校ではみんな一様に同じ教科の同じ授業を受けていますが、子供たち一人ひとりの興味や適性、やりがいを感じることは、当然それぞれ大きく違います。

適者生存 "Survival of the Fittest"

今、世界はどんどん変化しています。

人も企業も、変化に適応できるものが生き残っていく世の中です。

新卒で就職活動をしても、3年以内に転職や離職する人は3割を超えています。

若年層の考え方や幸せの定義、人生の過ごし方も多様化しています。

そして、今の子供たちには将来の社会保障の負担が大きくのしかかってきますので、おそらく70歳またはそれ以上にならないと退職できないでしょう。

そんな中で、10代や20代前半で選んだキャリアの方向性が一生涯変わらないと、誰も断言することはできません。

学校卒業後、50年以上働き続けることを考えると、日本でも転職するのが当たり前になりつつある中、子供たちはできるだけたくさんの社会の変化を意識するべきではないでしょうか?

では、社会の変化が意識できるような話しがどこで聞けるのでしょうか?

まず学校ではありません。

ゲストスピーカーとして学校が招待するような人では、影響を受けてある程度の興味を持つかもしれませんが、子供一人ひとりの関心に合う話しが聞けるわけでもなければ、日々の具体的な出来事や、職場にいる人の生の声を逐一聞くことはできません。

では誰から情報収集するのか?

それは家庭や家族以外にはないです。」

 

会社でどんな人が活躍してる?

会社や職場は社会の縮図です。

上司もいれば、部下も、新入社員もいます。

有能な人も入れば、そうでもない人もいて、毎日一緒に仕事をしながら、それらの人々の資質をじっくり観察することができます。

 

どのような人が人望が厚いのか、コミュニケーション力が高いのか、

どういう礼儀やマナーを身につけておかないと、「はぁ、今年の新入社員は、、、」と呆れられるのか、

今の社会が求めている人材を毎日見ているはずです。

 

私とEricも、我が子二人が小学校や中学校の時には、私たちの仕事場のメイプルであった出来事を毎日話題にしていました。

 

ネイティブ講師の社会人としての質について、

どんな働き方をしているのか、

良かった点、悪かった点、どうしてそのように行動したのか、

社会に出るとどういうクオリティが重宝されるのか、

履歴書の書き方、

就職ビデオ面接の受け方と服装や態度、

就職面接で面接する人はどんな点を見ているか、

コミュニケーション力はどんな時に役に立つか、

どんなことが上司に嫌われるポイントなのか、

どんな考え方や取り組み方が評価されるのか、

国境を越え、世代を超え、性別を超え、世界で必要とされる人材とは何なのか、

などを子供たちにわかりやすい言葉で説明していました。

 

 

家族だからこそ、言いにくいことも言ってもらえる

 

子供だから知らなくて良いのではなく、これから大人になっていく人だからこそ知るべきです。

苦言を呈する人は煙たがられるものですよね。

大人になってしまったら、嫌われ役を買って出てわざわざ自分に注意してくれる他人なんて、周囲に何人いるでしょうか?

そのまま「空気読めない痛い人。できない人」のレッテルを貼られて放置されるのではないでしょうか?

子供には、欠点の指摘だけするとか、言いにくいこと言うだけでなく、一緒に解決策を考えてくあげてください。

子供はまだ自分で対処する方法がわかりませんから、一緒に最善の方法を考えてあげて、実践できるようにサポートしてあげてください。

 

大学時代にいろんな人に揉まれて社会について学ぶ、と言う方もいるかもしれません。

もちろん、大学時代の経験は大事ですが、それがあるからと言って、家庭での社会に向けての教育をおろそかにして良いという理由にはならないのではないでしょうか?

大学までに判断基準がしっかりしていないと、大きな過ちや失敗につながることもあるはずです。

それに、大学生はやはり学生です。

会社に入った社会人ではないので、学べることも限られています。

 

リスクを回避し、大学時代に学ぶことがさらに大きくなるように、小学校や中学校のときから、社会ではどんなことが起こっているのかを家族の方が、子供にわかりやすい言葉で話してあげることの大切さは、強調してもしきれません。

身内以外に、いろんなことを親身になって注意し、本気になって助けてくれる人がいるでしょうか?

子供の頃なら、間違ってもすぐ立ち上がって前に進めます。

それも、親がしっかりと子供たちに目をやれるのは、高校卒業までの限られた期間だけですので、子供との残された時間を大切にしていきたいものです。

「人生の大半を費やす仕事」のやりがいとは?

私たちは起きている時間の半分以上を仕事やその準備に費やします。

生きていくためにはもちろんお金が必要ですが、仕事はお金を稼ぐためだけにやっているでしょうか?

 

私たちは、今の仕事にやりがいを感じているポイントが何か必ずあるはずです。

そうでないと、私たちよりも長い期間、人生の大半を働くことに費やさなければならない子供たちの心は参ってしまうと思います。

 

今の子供たちが大人になるころには、子供たちの2/3が現在存在していない職業に就くと言われていますので、「何になるか」という、職種で将来を決めるのではなく、「どんな仕事内容がしたいのか」で考えていく必要があります。

 

それぞれの仕事にどんな要素があるのか、

人と出会ったり話したりするのが好きなのか、

人の役に立つのが嬉しいのか、

物を作ったり完成させたりすることを喜びを感じるのか、

手を動かすことが好きなのか、

体を動かすことが好きなのか、

どんな種類の業務があるのかを具体的に想像できる環境が子供たちには必要です。

 

子供たちがこのような話を詳しく深く質問しながら聞ける場所は家庭以外にはありません。

 

お父さんとお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの職場で、日々どんなことが起こっているのか、子供たちにわかりやすく教えてあげてください。

小さいことでも良いのでどんな所が楽しいのか、

例えば、営業職で人と接することが楽しいのなら、プライバシーに関することを伏せながら、その日にどんな出会いがあって、どんな発見があって、どんなことにやりがいを感じたかや、

事務職なら、どんなプログラムを使っているかとか、効率的に仕事ができるように最近工夫していることなど、

具体例と一緒に話してあげてください。

 

私たちも、生徒のどんな頑張りに教えてて良かったとやりがいを感じたか、

指導するときにどんな工夫をしているか、

保護者の方にいただいた声がどれだけ嬉しかったか、

自分たちが失敗した点はどうやってこれから改善していこうとしているか、

「こんな企画をしているけれど、あなたたちが生徒だとしたら、どうするともっと楽しくなると思う?」など、

仕事で起こったいろんな出来事や問題を話題にし、子供たちの気持ちを社会や仕事に向けるきっかけにしていました。

 

ご家庭でも、仕事でやりがいを感じたこと、楽しかったこと、難しかったけど乗り越えたこと、嫌なこと、

今の課題、どうやったら改善できるのかと考えていること、しなければいけない勉強や作業のことなどを、わかりやすく話してあげてください。

 

今の子供たちは私たちよりもずっと長く現役をやっていかなければいけません。

かわいそうと思っても、子供たちが救われるわけでも、世界の状況が昔に戻るわけでもありません。

私たちにできることは、今後の社会のために子供たちにできる限りの準備をさせてやることだけです。

仕事の話をすると、勉強もやる気になる!?

 

家庭で社会のことを話すメリットは他にもあります。

それは、子供の学習へのモチベーションがあがることです。

子供には、学校での学びが楽しくなる瞬間があります。

それは、習ったことと世界がつながっていると感じる時です。

 

勉強をやる気がなかなか起こらないのは、今やっていることが自分にとって役に立つと感じられないからですが、

それなら、学校で習ったことがほぼ毎日のように家庭での世の中の話題につながっていたら、勉強がどれだけ有意義に感じられるようになるでしょうか?

 

子供たちは学びに積極的になり、親も手ごたえを感じることができる、みんなが楽しくなる取り組み方です。

一緒に生活していて、親の影響力が大きく、将来への心の準備に大切なこの時期に、将来自分の力で賢明な判断をし、人生を切り開いていける社会人になれるよう、広い視野を授けてあげましょう。

 

お子さんが創造的になり、家族がより近くなり、分かり合え、世の中が面白く感じ、積極的に生きていけるような、みんなが楽しくなる、物事ついて私たち一人ひとりが思うことについて、どんどん話していきましょう。